千葉県の有料老人ホーム事情
千葉県では60歳以上の男女は約154万人で、千葉県全体でみると3.9人に1人、つまり約25%が60歳以上の男女ということになります。
その千葉県の有料老人ホームの数は、2009年現在で224。
ひとくちに有料老人ホームといっても、それぞれ「住宅型」「健康型」「介護付き」と住まいの形態によってサービス内容が大きく異なり、入居者の選択の幅も広くなっていますので、自分にあった住まい方を考える必要があります。
介護を必要とする高齢者の住まい
高齢者の住まいには、心身の状態によって、各種あらゆる施設・サービスがあります。大まかな分類を見てみましょう。
高齢者になると、心身の状態によって住み慣れた自宅での生活が難しくなることがあります。
◆有料老人ホーム
◆適合高齢者専用賃貸住宅
などのように住まいの形態によってサービス内容が大きく異なり選択の幅が広い施設もあれば、
介護を必要とする高齢者が利用できるものとしては、
◆特別養護老人ホーム
◆認知症グループホーム
◆介護付き有料老人ホーム
などがあり、
医療的管理の下で介護やリハビリテーションを必要とする方のためには、
◆介護老人保健施設
◆介護療養型医療施設(平成24年3月末日をもって廃止)
があります。
ある程度自立していても食事や入浴などのサービスを受けたいという人のためには、
◆ケアハウス
◆軽費老人ホーム
などがあります。
住み慣れた自宅・地域で生活しながら介護サービスを受けたいという方のためには、
◆訪問介護による居宅サービス
などが提供されています。
このように、高齢者の「住まい」は多様であり、個々の方の健康状態やどのような住まいの形態を望むのかなどにより、自分にあった住まい方を考え、見つけていくことが大事になります。
有料老人ホームの入居のチェックポイント
有料老人ホームの入居に当たってのチェックポイントは、
◆経営主体のしっかりした老人ホームを選ぶ
◆県への設置届出がしてあるか?
◆社団法人全国有料老人ホーム協会に加盟し、入居者基金に加入しているか?が第一段階で確認できることです。
また、有料老人ホームに入るには、入居時に支払うお金(入居一時金) とは別に、月々の管理費(光熱水費) や食事等の諸経費などがかかります。よって、無理のない資金計画を立てる必要がります。
こうしたことを踏まえて、積極的に体験入居をするのがお勧めです。たいていのホームは、体験入居制度を用意していますので、積極的に利用しましょう。
宿泊してみて、これからの居住にふさわしいかどうか?
サービス内容が契約書・管理規程・重要事項説明書どおり実施されているか?
また、万一、車椅子での生活をするようになった場合のことを念頭に置いて、ホームの構造設備などを細かくチェックしましょう。
当然ですが、身体機能が衰え、日常生活において介護が必要になったとき、どのような介護サービスが保障されているのかは確認します。また、その際の介護サービス費用がどのくらいかかり、どのように支払うのかというのが重要です。
千葉県が用意している入居チェックリストがありますので、入居を検討する際には使ったらいいですね。
有料老人ホームの入居チェックリスト
千葉県では、有料老人ホームの入居の際にしっかりしたチェックを行ってもらうため、チェックリストを作成しています。
以下がそのチェックリストです。入居を検討する際は、これらに漏れがないかどうかをきちんと確認しましょう。
有料老人ホームの入居チェックリスト
(1)経済的な計画
(a)入居一時金はどのくらい負担できますか。
(b)月々の費用はどのくらい負担できますか。
(2)経営主体
(a)都道府県への届出はされていますか。
(b)社団法人全国有料老人ホーム協会の会員ですか。
(3)立地条件
(a)生活しやすい環境は整っていますか。
(b)最寄り駅からの距離は納得できますか。
(4)施設整備
(a)居室、浴室、娯楽スペース、売店等は満足できるものですか。
(b)手すりはありますか。
(c)段差は少なく、階段は緩やかですか。
(d)ドアのとっては操作しやすいものですか。
(e)ナースコールはついていますか。
(5)防火体制
(a)屋内消火栓等整備されていますか。
(b)避難訓練は実施されていますか。
(c)避難路はついていますか。
(6)痴呆・その他介護体制
(a)入居しているホーム内で介護は受けられますか。
(b)その際、介護にかかる費用負担が別途かかりますか。
(c)介護が必要であるという理由で退去を強いられることはありませんか。
(7)食事
(a)満足できる内容の食事が提供されていますか。
(b)病状等に応じた適切な食事が提供されていますか。
(8)医療・看護
(a)協力病院が定められており、診療科目は十分なものですか。
(b)そこでは十分な治療を受けることができますか。
(9)健康管理
(a)定期的な健康診断が実施されていますか。
(10)運営懇談会
(a)入居者とホーム側の話し合いの場が持たれていますか。
(11)契約書
(a)ホームの類型は書かれていますか。
(b)費用負担の方法はしっかり書かれていますか。
(c)退去時の返還金について書かれていますか。
(d)サービスの種類及び内容は書かれていますか。
(e)一般居室以外に移動させられる場合には、その条件が明確に書かれていますか。
介護保険とは?
介護保険では、介護が必要になっても、できる限り自宅で、自立した生活ができるよう、必要な福祉・医療サービスを総合的に受けられる仕組みを目指しています。
介護保険は、助け合いの考えでお互いに保険料を負担し、誰かが介護が必要になったときに、介護サービスを提供する仕組みで、原則として40歳以上の人が加入します。
介護保険の運営に必要な費用の半分は加入者の保険料、残りの半分は公費(国、都道府県、市町村)で負担します。
介護保険の適用には、まず市町村に介護サービスの利用を申し出た上で、市町村が介護や支援の必要性について認定を行います。
市町村から要介護(1から5、または経過的要介護)の認定を受けた人は居宅介護支援事業所に、要支援1・2の認定を受けた人は、地域包括支援センターにサービス計画の作成を依頼し、介護サービスの利用が始まります。
また、要介護・要支援には該当しないけれども、そのおそれがある方は、市町村の行う介護予防事業を利用することができます。
介護保険に加入できる人は、
◆65歳以上の人
◆40歳以上65歳未満の医療保険加入者
「65歳以上の人」と「40歳以上64歳までの人」では、介護サービスを受ける条件や保険料の納め方が違いますのでご注意ください。
◆介護保険に加入できる65歳以上の人
要件は、市町村の住民のうち65歳以上の人です。住所の市町村に要介護認定を申請し、常に介護が必要であったり(要介護状態)、一定の支援が必要な場合は(要支援状態)、原因を問わず、介護保険サービスを利用することができます。
保険料は、所得に応じて6段階以上に区分されて定められています。
保険料の段階や段階ごとの金額は市町村によって異なります。
保険料の納め方は、年金の額が月額1万5千円以上(年間18万円以上)の人の場合、原則として年金から天引きされます。
◆介護保険に加入できる40歳から64歳までの人
要件は、老化に伴う病気(特定疾病)による障害で要介護・要支援状態になった場合に限り、介護保険から介護サービスを受けることができます。
保険料は、健康保険・国民健康保険といった医療保険料に上乗せして、徴収されます。
介護保険で利用できるサービスは?
介護保険で利用できるサービスは、
◆自宅で介護を受ける人を対象とした居宅サービス
◆施設に入所する人を対象とした施設サービス
の2つがあります。
注)要介護認定で要介護状態と認定された人は、居宅と施設いずれのサービスも利用できますが、要支援状態と認定された方は居宅サービスの一部と、施設サービスは利用できません。
では、施設サービスにはどういうものがあるのか?
介護保険施設に入所して介護を受けて生活するサービスを施設サービスと呼んでいます。
介護保険施設には3種類あり、それぞれ、
◆介護老人福祉施設
老人福祉法に基づき認可された特別養護老人ホームのこと。寝たきりや痴呆症のため、常時介護が必要な方で、自宅での介護が困難な方の生活の場としての施設
◆介護老人保健施設
病院での治療が終わった人が家に戻ることを目指して、看護や医学的管理下での介護・リハビリ等が行われる施設
◆介護療養型医療施設
介護保険で入院できる病院で、病状は安定期に入ったものの引き続き入院の必要な人が対象で、療養上の管理、看護、医学的管理下での介護・リハビリ等が行われます。
では、居宅サービスにはなにがあるのか?
居宅サービスの主なものは以下のとおりです。
◆訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが家庭を訪問し、食事・排泄・入浴の介助や、調理・洗濯などの家事支援を行います。
◆訪問入浴介護
家庭に浴槽を持ち込んで、入浴の介護を行います。
◆訪問看護
看護師や保健師などが家庭を訪問して、療養の世話や診療の補助などを行います。
◆訪問リハビリ
心身の機能の維持や回復のために、理学療法士や作業療法士が家庭を訪問してリハビリテーションを行います。
◆通所介護(デイサービス)
デイサービスセンターなどへ送迎し、健康チェック・機能訓練・入浴や食事の提供などのサービスを日帰りで受けます。
◆通所リハビリテーション(デイケア)
日帰りで病院・診療所や老人保健施設に通い、理学療法士や作業療法士などによるリハビリのサービスを受けます。食事や送迎のサービスもあります。
◆短期入所生活介護(福祉施設のショートステイ)
特別養護老人ホームなどの福祉施設に短期間入所し、日常生活の介護や機能訓練を受けます。
◆短期入所療養介護(医療施設のショートステイ)
老人保健施設、療養型医療施設・診療所などの入所施設に短期間入所し、医学的な管理のもとに機能訓練、日常生活の介護・看護を受けます。
◆グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
介護を必要とする認知症の高齢者がグループホームで共同生活を行い、家族的な環境で日常生活上の介護や機能訓練を受けます。
◆有料老人ホーム等(特定施設入所生活介護)
指定を受けた有料老人ホーム・軽費老人ホームに入所し、日常生活上の介護や機能訓練を受けます。
多く寄せられる相談
2000年の介護保険法施行を機に有料老人ホームが増えています。都道府県に老人福祉法に基づく届出をしているホームは、1999年は303か所でしたが、2005年は5倍増となっています。そのほか、都道府県に届出をしていない有料老人ホームも増加し、入居者数も大幅に増えているようです。
それに応じて各地の消費生活センターに寄せられている相談も多くなっているようです。
特に、新規参入の老人ホームや入居金が低額の老人ホーム、また都道府県に届出をしていない老人ホーム等の相談が目立つようです。
届出をしていないホームを含む有料老人ホームに関する相談(入居金や入会金の返還、介護サービスの質のまずさ、介護事故等)は、2000年以降、900件近く寄せられているとか。
以下、多く寄せられている相談を列挙します。
介護契約にかかわる相談が9割強
特に、有料老人ホームと訪問介護の相談が多く、次いで、居宅介護支援、ショートステ
イ、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と介護老人保健施設、デイサービス、ケアハウス、デイケア、訪問看護の相談件数が続いています。
また、介護の質と費用に関する相談が多く見られます。相談内容としては、介護サービスの質と費用に関する相談が多く、解約(退去)の相談、介護事故、事業者選びに困っての相談、取引条件、契約拒否・不能などの相談が多く寄せられています。
無届け有料老人ホームなどに入居の生活保護受給者は全国で約1万4,000人
群馬県で2009年3月、10人が死亡する火災が起きた無届け有料老人ホームなどに入居している生活保護受給者が、全国でおよそ1万4,000人にのぼることが厚生労働省の調査で明らかになりました。
それによると、全国の無届け有料老人ホームなどで生活している生活保護受給者は1万4268人で、そのうちもともと住んでいた自治体ではない他府県の施設を紹介され入居している人が東京都で517人、千葉県で48人、神奈川で15人などあわせて617人にのぼることが明らかに。
施設の数が首都圏で不足している実態が浮き彫りになったことで、厚労省は「今回調査した施設が、届け出義務がある施設かどうかを明らかにしたうえで、必要な対策を行いたい」としている。
千葉柏市、特養ホーム入居待ち1000人
千葉県柏市の特別養護老人ホーム入居待ち者が初めて1000人を突破したことが2009年4月28日、市の最新データで分かったそうです。
市高齢者支援課によると、3月1日現在の入居待機者は前月比39人増の1015人。2005年は700~800人だったが、今後、団塊の世代で介護を必要とする人が増え、さらに入居待ちが増える見込み。
同じ中核市で人口が約1・5倍の船橋市は約800人。柏市は施設の手当てが追いついていない実態が浮き彫りになった。
週刊 ダイヤモンド 2009年 5/9号「介護地獄 脱出!」
特集では、後悔しないための有料老人ホームの選び方のほか、昨今話題の絶えない合併や買収に関するレポート記事も掲載しています。
また、恒例の「有料老人ホームランキング」。今回は前回の1001施設からさらに対象数を増やし、24都道府県、1556施設をランキングしています。
内容
Part 1
4月から介護はこう変わった!
新しい「要介護認定」方式で増える利用者の負担とカネ
Chart 予算・症状・ニーズ別 最適介護フローチャート
Part 2
在宅介護の不安を解消する
【男の介護】打開策は弱音をはける仲間づくり
【遠距離介護】ケアマネ参加のチームづくりがカギ
200万円からできる"終のすみか"のつくり方
図解 バリアフリー改修費用の目安
Column 要介護度の引き下げはこうして回避しよう
高齢者が元気を取り戻す介護保険対象外の多様なサービス
【スウェーデン現地ルポ】学ぶべきは職員が普通に働ける労働環境
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